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2011年2月20日 (日)

「エイリアン」

 初海外。中学三年の春、僕はホームステイの権利をひきあてた。

 僕の住んでいたまちは、姉妹都市交流の一環として、“少年少女使節団”を派遣していた。運の良いことに、その年は僕の中学校から、1名選ぶという。募集には、僕を含め20人くらいが集まり、その中でくじ引きをした。最初に当てた人が、なぜか辞退してしまったため、再度くじ引きをし、今度は僕が当てた。うれしさ半分、こわさ半分だった。僕の英語の成績は褒められたものではなかったし、今まで遠出といえば、祖父母の家に行くくらいだったから。
 使節団は、各校からの8人の中学生と、2人の教師で構成されていた。何度も海外を経験し、流暢な英語を話す子もいた。僕はますます心配になったが、腹をくくるしかなかった。
 
 その国に着いて、しばらくは通訳の大学生に連れられて観光をした。土地が広い、と思った。それから、夕方に立食パーティーがあった。僕たちは、その国の民謡を歌って披露した。喜んでくれているようだった。最後に偉い人が、ポケットに右手をつっこんだまま話していたのが印象的だった。
 次の日、8人は散り散りになった。僕のホストファミリーは4人家族だった。やさしくて仕事のできそうなパパと、かっぷくの良いちゃきちゃきとしたママ。それから、15歳と19歳の男の子がいた。家には日本のものがたくさん置いてあった。
 15歳の男の子は、ルークという名前だった。気さくで、日本人にとても慣れている様子だった。しかも、キラメキ☆MMMBOPのハンソン兄弟を思わせる容姿。真ん中分けのブロンドヘアー。彼に連れられて、町を歩き、バスケをしたり、アイスを食べたりした。言葉は何一つわからなかったが、彼の態度には尊敬の意が感じられた。
 
 ホームステイ3日目だったと思う。ルークが、「今日の夜、友達の家でパーティーがあるから、一緒に行かない?」って言ってきた(僕はそう解釈した)。自宅で、友達とパーティー、未成年が夜に???何度も聞き返したけど、間違ってないみたいだった。
 
 夜の住宅街の中、僕はルークに連れられて歩いた。すごくきれいな家が立ち並ぶところに着いた。ルークは、家のチャイムを鳴らして、中に入った。家族の人に挨拶をした。
 部屋に入ると、女の子が一人いた。どうやらルークのガールフレンドらしい。なんだ。やっぱり勘違いだった。パーティーなんかじゃなかった。
 ルークとガールフレンドと、そこで映画を見た。日本ではまだ未公開の「インデペンデンス・デイ」という映画だった。テレビの中では、捕獲されたエイリアンが、ものすごい奇声を発していた。字幕がないので、内容はわからない。僕はそれを見ながら、目の前にいる男女にとっては、僕もエイリアン(外国人)だろうし、テレビの中のエイリアンはものすごいし、なんだかわからないけどシュールな状況だな、と思った。
 
 映画の途中で、ルークが「行こう!」と言い、観るのを止めた。3人は家を出て、また歩いた。今度はもっと大きな家に着いた。家に入って、家族に挨拶した。それから奥の部屋に入った。ものすごく大きな音で、音楽がかかっていた。男女が10名ほど暗闇の中で騒いでいた。ルークが部屋に入ると、みんな彼にハグした。僕はどうすればいいのだろうと思った。ルークは僕を紹介してくれた。僕は練習した挨拶をひたすら繰り返した。みんな笑って迎えてくれた。握手やハグをした。それから、音楽に合わせてみんな踊りだした。
 
 僕は踊った。なりふりかまわず踊った。踊りながら、みんな楽しそうだな、ルークはたくさんの女の子に囲まれてる、すごい男だな、今、本物の異文化交流してるよな、ルークありがとう、踊りって難しいな、窓全開だけど、近所迷惑じゃないのかな、ホームパーティーなら、うるさくても許される文化なのかな、本当にみんな15歳なのかな、大人びてるよな、踊りって難しいな、ルークありがとう、と思った。
 
 次の日、マウンテンバイクで遊んだ帰りに、ギャングの車に追い回されるという恐ろしい経験を、もし、していなければ、きっと、また必ず行く!と思ったに違いない。世界の文化は多様だ。
 
iKuru
 
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裏セブンの字幕つき動画「30 seconds」

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